紳士の社交場 クラブ

DANCING MEN

クラブの発祥は17世紀のコーヒー・ハウスです。コーヒー一杯、1ペニー払えば、だれでも自由に入れました。ただし男性のみの団欒の空間でもありました。
商売の話や政治談義、猥談、ゆっくり新聞や雑誌を読みふけったりと、コーヒー・ハウスは紳士の社交場になっていきます。
やがて同じ趣旨のメンバーが集う場になり、会員制のクラブ・ハウスになるのは18世紀の後半からでした。

19世紀に入ると、豪華な邸宅がクラブとして使われ、居間や図書室、食堂、カード部屋等、メンバーはわが家のように過ごせました。団欒や政治、芸術談義だけでなく、食事や飲酒、宿泊もできました。
女性がいるとどうしても煩わしさが生まれるため(口うるさいとか、色恋とかでしょうか?)、男だけの世界で紳士たちは優雅にくつろいだのです。

OUR BORES, NATIVE AND FOREIGN.

紳士の社交場だけあり、懐が寂しい者は入れません。ある有名クラブはおよそ年会費が100万円ほどだったとか。
そしてだれでも入会できる、というわけではなく、推薦者が必要です。メンバーから紹介されたのち、メンバー投票で「異議なし」と全員の承諾をもらうことにより、晴れて一員になれます。

クラブには使用人も大勢いました。わが家の召使のようにこき使っても許されます。その代わり、クラブごとの規則も多く、食べ物や飲み物を持ち出すことは厳禁でした。ペットも入れてはいけません。
メンバー以外の部外者と会うときは、専用の部屋だけ使えました。気心の知れた男同士だけの排他的な場所だったのです。

VI.—THE DUFFER AT WHIST.

クラブによっては女性も入会できるようになりましたが、1970年代以降のことです。紳士としての社交場としての要望が強いのか、女性メンバーは入れる部屋が限られていたり、参加できる曜日が決まっていたりと、女性には敷居が高い世界のようです。

AIR—"Ye Gentlemen of England."

有名クラブをいくつか紹介。

・トラベラーズ・クラブ……ロンドンから500マイル以上の旅をしたことがある。
・エキセントリック・クラブ……演劇関係者。
・ユニオン・クラブ……イギリス最古のクラブ。
・アシニアーム・クラブ……科学、文学、芸術分野で活躍している者と、そのパトロン。
・リフォーム・クラブ……大英帝国の改革者。議員と著名外国人。

社交場以外にも、乗馬やゴルフのクラブもありました。
A RULING PASSION.

その他クラブや紳士的社交の雰囲気を伝えるイラストの紹介

パンチ挿絵
パンチ挿絵
パンチ挿絵
パンチ挿絵