ヴィクトリアン・ハウス(城館・屋敷・館・邸)

Country House
ヴィクトリアン・ハウスとは、ヴィクトリア朝時代に建てられた家の総称です。歴史ある家々には日本にはない特徴がいくつもあります。

カントリー・ハウスとタウン・ハウス

カントリー・ハウスはその名のとおり田舎にあるお屋敷のことです。昔の英国=豪奢なお屋敷。というイメージそのままの建物。
今でもイギリスでは、自然豊かな田舎に別荘を持つことが人々の憧れとなっています。面白いことに、古ければ古いほど価値があります。最低300年は必要だとか!

マナー・ハウス(領主館)とも呼ばれ、○○ハウス、○○ホール、○○パークと名前がつきます。厳密な違いは不明(ネイティブな方や歴史に詳しい方なら分かるのかもしれませんが)。城館もカントリー・ハウスに入ります。
Manor House

上流階級である貴族は領地を持っていました。そこに自らが住む豪邸を建て、領地の管理も行います。中世は調停をする判官も領主が務めていました。マナー・ハウスと呼ばれる由来です。
Bristol. Tyntesfield Manor

貴族たちは議会へ出席するため、春から夏にわたってロンドンに滞在する必要がありました。国中の上流階級が集うのですから、社交も盛んになります。
その時住むのが、タウン・ハウス(町屋敷)。田舎とは違って土地が限られるため、狭さを階数の高さで補いました。
Nineteenth-century English Town Houses

フラット・マンションがタウン・ハウスに該当します。階数のある一つの建物を、世帯ごと縦に区切って住みました。
Old Swan House. Chelsea Embankment, London

London. Fire Monument

中流階級~労働者階級の住宅

カントリー・ハウスほど大きくない、高級一軒家はデタッチド・ヴィラと呼ばれます。おもに裕福な中流階級の人々が郊外に建てて住みました。白いイタリア風と赤レンガで作られた新ゴシック様式があります。
Nineteenth-century English House

あまり裕福でない中流階級は、セミ・デタッチド・ハウスに住みました。一軒家を中央で仕切った左右対称の二世帯住宅です。
Nineteenth-century English House

労働者階級は長屋(アパート)に住みました。一つしか部屋がなく、寝室と食堂、居間を兼ねていました。炊事場やトイレ、水場は共同で、裏庭で洗濯物を干しました。
Street Scene, Lincoln
Back of a series of buildings

ヴィクトリアン・ハウスのお部屋

部屋数の多い、カントリー・ハウスをもとに紹介します。

・広間(サルーン)……いわゆる玄関ホール。客人が最初に足を踏み入れる空間であるため、広く、インテリアにも凝った。凝った装飾のマントルピースの暖炉やソファ、代々当主の肖像画や絨毯があることも。大広間がない家は、ここで舞踏会も開かれた。
Eaton Hall. The Saloon
↑お屋敷のホール
Interior of house of Lawrence Alma-Tadema
↑ヴィラのホール
Elliot Mansion Interior, Main Street, Keene New Hampshire
↑マンション(フラット)のホール

・応接間(ドローイングルーム)……控えの間。晩餐会のあと、女性たちが歓談する場として使われた。居間がない家は、家族の朝食の場も兼ねた。
Drawing Room of The Grand Hotel, Tramore, Co. Waterford.
State Government House "Cranbrook."

・居間(パーラー)……家族のための居間。女性主人がくつろいだり、読書や手芸をする部屋でもあった。お茶会が開かれるのもパーラー。明るくなるよう、日当たりが良い方角にあった。
Victorian parlour?

・食堂(ダイニングルーム)……夕食をとるための部屋。客人を招く晩餐会が開かれるのもここ。マホガニーのテーブルと椅子、銀の燭台や食器、グラスが並ぶ。朝食は居間でとるのが当時の英国流。
Dining Saloon on the S.S. Great Eastern

・書斎(ライブラリー)……男性主人が執務をしたり、くつろぐ部屋。図書室がない家は兼用されていた。本を読む読まないに関わらず、書物を所持することがステイタスだったため、なかには中味のない飾り用の本を置いてあることもあった。
Interior of the ‘Wigwam’, Dr. Oronhyatekha’s residence on Foresters' Island, near Deseronto, Ontario.
Bain News Service,, publisher.
Library - Mauretania

・撞球室(ビリヤードルーム)……男性の部屋。喫煙室(スモーキングルーム)も兼ねており、男性客たちがゲームをしたり、憩う部屋だった。
 New Wing, Convent, Billiard Room.

・温室(コンサバトリー)……ガラス張りの談話室という意味がある。緑豊かな空間で客人をもてなす。ちなみに、植物を育てる温室はオランジェリー。
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・寝室(ベッドルーム)……もっともプライベートな空間。手紙を書くのもこの部屋。上流階級では夫婦の寝室が別だった。
Master bedroom, Mrs. George Stephen's house, Montreal, QC, 1884

・浴室(バスルーム)……バスタブに湯を張って浸かる習慣が生まれたのは19世紀末。10センチほどの湯とソープを入れ、洗ったあとはタオルで拭くだけ。それ以前は寝室で大きな桶を使った腰湯だった。

・子供部屋(ナーサリー)……主人の子供の部屋。当時は子供と大人の世界が完全に別れており、食事から遊び、勉強、寝る時間をすべて子供部屋で過ごした。お世話は、使用人である乳母(ナース)がした。
Manse Nursery

ほかに、階下(地下)に厨房(キッチン)、洗濯室(ランドリー)、使用人ホール、貯蔵室、執事室、家政婦室 等。
屋根裏部屋にメイドの寝室。
外にガーデンや菜園。

壁紙
1832年までは壁紙税があり、贅沢品でした。その後撤廃されると、徐々に普及して輸出するようになりました。
1850年代はシンプルな幾何学模様が流行。1860年代になると機械製のロール壁紙が普及して安価になり、庶民も買えたことで壁紙ブームが起きます。花がらや唐草模様が登場したのがこのころ。
その後、モリス商会がデザインした壁紙が人気でしたが、大量生産ができず高級品だったため、上流階級が好んで使いました。
Display of wallpaper patterns typical of period around 1910.
Display of wallpaper patterns typical of period around 1910.
↑壁紙見本。1910年

暖炉
暖炉はインテリアの中心。タイルを貼ったマントルピースの上には小物を飾り、暖炉の熱を避けるファイヤー・スクリーンには華やかな絵が描かれました。
庶民の家では生活の全てを暖炉が担ったため、団欒と憩いの場でした。暖だけでなく明かりや煮炊きも役目でした。
Mentmore Towers (Rothschild Mansion), Library

ファイアスクリーン
↑ファイヤー・スクリーン

Elliot Mansion Interior, Main Street, Keene New Hampshire
↑1892年。マンションの居間。絵画のような壁紙が美しい。

参考文献
4309762093
図説 英国インテリアの歴史: 魅惑のヴィクトリアン・ハウス (ふくろうの本)
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図説 英国のインテリア史
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図説イングランドのお屋敷 ~カントリー・ハウス~
図説イングランドのお屋敷 ~カントリー・ハウス~

イングリッシュガーデンとマナーハウスのイラスト
アンティークなお屋敷インテリアのイラスト
上記まとめにて、その他たくさんの画像を紹介しています。

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