↑キッチンメイドは階上へ行くことがなかったため、午後用の制服はなかった。
メイドと従僕の最大の違い。それは支給のお仕着せがなく、自腹で制服を用意する必要があったことです。だから少女たちは初めての奉公をするまで、制服を作るための費用を貯金しました。当時は既成品がほとんどなく、布地を買って仕立屋で縫製しました。
19世紀初頭まではとくに決まった制服はなく、女主人のお下がりを着るメイドもいました。ときには客人に女主人にまちがえられるという事故(?)もありましたが。
ヴィクトリア朝になると身分差を厳格にするためでしょうか、はっきりとした理由は不明ですが、だんだんと黒い布地のドレスに白いエプロンとキャップ(帽子)というスタイルが確立しました。
メイドたちは制服必須ですが、上級使用人の家政婦や侍女になると私服での奉公を許されます。ただし、主人との区別をつけるため、地味で流行遅れのドレスを着用するのが普通でした。
制服の種類
・午前用のプリント地のドレス。色はピンクやグレーなど。プリント地は安価だった。丈夫な麻布で作ったエプロン。掃除をするときに着用した。
・午後用の黒いドレス。白いエプロンとキャップ。屋敷によってフリルがあったりなかったり。白いカラーとカフス。接客をするときに着用した。
・外出着。メイドは地味な黒いドレスと、つばの大きなボンネット帽を着用しなくてはならない。羊毛で編んだストッキングも黒。白を履いたら、最悪、解雇になるほど厳しかった。外出着は日曜日、教会へ行くときなどに着た。
↑午前用の家女中のドレス姿。フランス(?)メイドだからでしょうか、制服はおしゃれなストライプ柄。ストッキングは英国ではありえない白。