葬儀と喪服

Funeral Ceremonies of William Henry Harrison

時系列にまとめてみました。

ある日、黒枠の便箋が配達されます。親しい者の死を告げる訃報で、枠が太いほど近親者の死を意味します。

つぎに喪服の用意。男性はとても簡単。日ごろから黒い服を着ているので、帽子の黒い喪章や黒い手袋だけでおわり。しかし女性は喪服用品屋に来てもらうことになります。新な死者が出るたび、喪服も新調しなくてはならない慣習があるためです。

召使のいる屋敷も、使用人たちのために喪服が要ります。男性は黒いスーツにネクタイと腕章、女性は黒い質素なドレスに帽子と襟と袖口を用意。手持ちのお金がないときやあまりにも急なときは、手持ちの服を黒く染めました。あまり裕福でない一般の人々もそうすることがあったようです。

Death of Harrison, April 4 A.D. 1841

そして通夜には、家中のブラインドが降ろされ、鍋の蓋を閉じ、時計を止め、鏡に覆いをしました。家に来た者は身分や親しさの度合いに関わらず、必ず死者の顔を見て最期のあいさつをします。足音や馬車の音を響かせないため、家の前の通りには藁を敷き詰めました。

通夜が終わると、葬儀をするため教会まで参列、墓地に埋葬。

ここで終わりですが、墓泥棒に注意しなくてはなりません。当時は病院や大学で死体を解剖するために、死体を売る闇の商売まであったほど。だから金持ちは鉄柵で墓を覆ったり、墓守を雇いました。

喪中期間は喪服や半喪服を着て過ごさねばならず、未亡人の場合二年間も黒い服のまま。装飾品ももちろん黒。ジェット(黒玉)を加工した商品が人気でした。
Samuel Bell Maxey Collection - 1981

イギリスヴィクトリア朝の喪服と葬式写真
↑写真とイラストをまとめました。