お嬢さまらしい会話表現

ヴィクトリア朝を舞台にした小説や漫画を書いたとき、ほぼ必ず登場するであろう存在。お嬢さま
現代日本で生活していると、ハイソ(ヴィクトリアンでいう上流階級)な方々と接する機会はまずないと思います。私もそうです。

だからいざ、作品で登場させようとなったとき、「お嬢さまの会話ってこんなのでいいのか?」と悩むことに。
漫画やラノベはとりあえず語尾に「~ですわ」をつけているものの、果たしてそれが正解なのか……。

というわけで、お嬢さま言葉――上流階級の言葉遣いについて、ごく簡単に紹介します。

お嬢さま言葉に「すみません」と「どうも」は禁句。
まず上流階級ならば「恐れ入ります」が基本。
もしくは「申しわけございません」「失礼いたしました」「どうもありがとう」を状況によって使い分けること。
すみませんは便利な言葉ですが、庶民丸出しですので決して使用しないようにしましょう。あと、ペコペコと下手になりながら、「恐れ入ります」と言わず、ぴんと背筋を伸ばして堂々としていること。

●謝罪をするのなら「すみません」ではなく「申しわけございません」か「お詫び申しあげます」。
↑軽い謝罪なら、「失礼いたしました」か「ごめんあそばせ」。

●お礼を述べるのなら「すみません」ではなく「ありがとう」。
↑ありがとうございます、は立場が下の人が使うため使用しないこと。
深い感謝には「たいそうありがたく存じます」。

●声をかけるときは「すみません」ではなく、「よろしいかしら?」「お願いできます?」。
↑「恐れ入ります」の代わりに上記の言葉でもOK。

●呼びかけは「○○さん」ではなく、「○○さま」。
↑お父さん、お母さんはNG。お父さま、お母さまと呼ぶようにしましょう。目上の身内は全て○○さま。弟妹や甥姪など目下は、○○さんでもOK。
他人は基本、○○さま。家族でも、父と母へは敬語を使うこと。

●自分のことは「わたし」ではなく「わたくし」。

●質問は「~ですか?」ではなく「~ですの?」「~ますの?」。
↑相づちも「そうですの?」を使用。

●感激したときは「~ですこと!」。
↑庶民で言う「~じゃん!」や「~ですね!」。
あと、依頼する時にも使用可。「お願いできますこと?」等。

●質問したり、勧めたりするときは「~て?
↑「どうぞ○○なさって」「○○させていただけて?」「○○してもよろしくて?」とバリエーション豊富。

●「思います」「知ってます」は「存じます
↑「ありがとうございます」より「ありがとう存じます」。ございますを存じますに言い換えるほうが、お嬢さまらしい。

●友人同士でも敬語が基本。
↑「おかけになって」「ご都合いかが?」「どうぞ召し上がって」「お決めになって?」「いま、およろしいこと?」「わたくしがご案内するわ」「こちら、ちょうだいするわ」等。

●「こんにちは」「さようなら」は「ごきげんよう」。

●お嬢さまは直接相手を貶めるような言葉を使わないこと。
例1「無礼な人」→「はっきりしてらして
例2「いばっている」→「ずいぶん自信がおありで
例3「ずるい」→「世渡りに長けていらっしゃる
例4「のろま、気が利かない、頭が悪い」→「のんびりしていらっしゃる
例5「悪趣味」→「個性的
例6「嫌いな人」→「苦手なのでございます」「ほかの方におききになって
例7「ひどい目にあった」→「皆さまお困りでしたの


……と、紹介しましたが、これが正解というわけではありません。あくまでも参考のひとつとしてください。
拙作は上記のお嬢さま言葉を全て使用してはいません。多用すると堅苦しい雰囲気になりかねないためです。
さすがに「すみません」を使用するのは、下記の参考資料を読んでやめました。ついつい、無意識のうちに使ってしまうんですよね。庶民の性(サガ)です。

参考文献

お嬢さまことば速修講座