階級と敬称

"L'INVITATION À LA VALSE."

当時の身分制度についてはかなり複雑で、資料によって若干解釈が異なっていることもあります。
そのため完全に把握できてはいないのですが、自身がわかる範囲で簡単にまとめてみました。
不明な箇所は空白にしてます。上にいくほど身分が上。

○王族

○上流階級
・貴族
公爵(卿) 長男(親の第二称号+卿) 次男以降(名+卿) 長女以降(名+レディ)
侯爵(卿) 長男(親の第二称号+卿) 次男以降(名+卿) 長女以降(名+レディ)
伯爵(卿) 長男(親の第二称号+卿) 長女(名+レディ) 次男&次女以降(オノラブル=爵子&爵女)
子爵(卿) 長男&長女以降(オノラブル=爵子&爵女)
男爵(卿) 長男&長女以降(オノラブル=爵子&爵女)

※公爵と侯爵の長男は一つ下の爵位を授かる。家督を継げば親と同じ爵位になる。
※夫人は爵位に関係なく、レディ+姓。

・ジェントリ
准男爵(サー+名) 長男&長女以降(ミスター&ミス) 夫人(レディ+姓)
士爵(サー+名・世襲無) 長男&長女以降(ミスター&ミス)
郷士(ミスター)

CHIVALRY AT THE BREAKFAST-TABLE.

○中流階級
アッパー・ミドル…親や兄が貴族等の上流階級に属する人もいる。法廷弁護士・上級官吏・内科医・聖職者・将校など。
ミドル・ミドル…使用人が複数人雇えるレベルの財力。専門職・外科医・事務弁護士・中小商会の経営者など。
ロウ・ミドル…使用人ひとり雇えるレベルの財力(雇っていない場合も有)。教師・事務員など。

※ミドルとロウの境界が曖昧なため、財力を基準に分けています。職業は目安程度。貧乏な事務弁護士とかもいたようですし……。

○労働者階級
労働貴族…使用人ひとり雇えるレベルの財力。生活はロウ・ミドルより上のことも。パブや商店の主・熟練した職人など。
その下にはその日暮らしの労働者・職人・農民・使用人・移民などさまざまです。

○下層貧民
ストリートチルドレン・売春婦・浮浪者・不法移民・犯罪者など。
教会で洗礼を受けてないため、教区に籍のない者もいます。

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資料によっては准男爵が貴族扱いだったり、労働貴族がロウ・ミドルだったりと厳密な線引きが難しい状況です。あと、貴族の敬称については、父親の第二敬称など本格的にしてしまうと、読み手が混乱してしまうため、あえて作品中は簡素にしています。
ただ爵位のある貴族の場合、卿だけでは混乱するので○○伯爵と名目爵をつけて呼ばせています。
……ああ、やっぱりややっこしい(汗)

THE LIGHTS O' LONDON.