自由と規律-イギリスの学校生活


自由と規律―イギリスの学校生活 (岩波新書)

1920年代、英国のパブリック・スクールで学んだ著者の体験記。
おおー、新書でこういうのがあったの知らなかった。たまたま見つけたときは、嬉しくてすぐ購入して読みましたw
いわゆるパブリック・スクールとはイギリス人にとって何なのか、という前半の解説と、実際、著者が体験した寄宿生活を簡単に記した内容。
19世紀なかばごろを記した別の新書(英国パブリック・スクール物語)より、半世紀ほど時代が下った20世紀だけあって、生徒たちは洗練されていました。
暴力やいじめがほとんどなかった、というのがすごい。未成年が集まると、どうしてもクラス内カーストみたいなのができるのが普通だから。
それは監督生の存在が大きくて、彼らが仲裁をし、弱い者の味方をするからだそうです。

でも、内向的で芸術肌の生徒は、なかなか馴染めず苦労したそう。いわゆる、体育会系が有利になっていて、スポーツの花形選手は尊敬されるも、団体行動とスポーツが苦手な生徒は居場所がなかったそうです。音楽はまだしも、絵画や文学に傾倒することは軽蔑の対象でした。
でもいじめがなかったってあるから、陰湿な仲間はずれとかだったのでしょうか?そのあたりの詳細がなかったので、想像になってしまいますが……。

大学へ進学すると、がらりと環境が変わり、学校生活は優雅になります。
質素だった食事が豪勢になり、時間に縛られていた生活がなくなって、ひとりの紳士として扱われます。
なぜ、パブリック・スクールは規律が厳しいのかというと、未熟な少年のうちに辛抱や美徳を叩き込み、自由な大人の世界で、ひとりの自立した紳士として活躍できるよう、訓練される場だからです。

現代のように子供のときに甘やかしすぎると、大人になったとき自立しづらいのだというのが、昔から続く英国の常識だったようです。

投稿日2016年03月05日